手話教室が終わる頃には、どしゃ降りの雨になっていた。
今日、彼女は手話教室に来てなかった。
「先生…」
皆が教室を出た後に、片付けをしていた先生に声をかけた。
「何かしら?」
「彼女……神崎さんは今日は来てなかったみたいですが……」
「体調を崩してるみたい。風邪でもひいたのかしらねぇ……」
先生はプリントを"トントン"と揃えながら言った。
「そうですか…」
「あら、阿川くん…穂乃ちゃんのこと…心配?」
先生がニコッと笑いながら聞いてきた。
「あ、いえ…別にそういうわけじゃ……。あっ…では、失礼します」
「お疲れ様でした」
俺は会釈をして教室を後にした。
体調を崩してる……か…。
俺は外に出て、早足で車のところまで行き、運転席に乗り込んだ。



