話し終えた時、穂乃ちゃんは泣いていた。
流れた涙はシーツを濡らしていた。
「私……捨てられちゃったんだね……」
そう言って、泣き笑いの顔をする穂乃ちゃん。
「泣かないで……」
俺は穂乃ちゃんの頬に指で触れて、涙を拭った。
「穂乃ちゃんには俺がついてるから……。だから何も心配しないで……」
「咲哉さん?」
「ん?」
「ありがとう。全て話してくれて、ありがとう……」
「ううん」
俺は笑顔で穂乃ちゃんを見つめた。
「咲哉さん?」
「ん?」
「ひとつだけ……お願いがあるの……」
「何?」
「もう嘘つかないでね……」
「わかった。もう嘘つかない。隠し事もしない。約束……」
俺は穂乃ちゃんに小指を差し出した。
俺の小指に、穂乃ちゃんの小指が絡まる。