「咲哉さん?」


「ん?」



穂乃ちゃんから話しかけてきてくれたのが嬉しかった。



「…………あのね……」


「そんなとこ立ってないで、入っておいで」



俺はファンヒーターのスイッチを入れた。


穂乃ちゃんはリビングのドアを閉めて、リビングに入って来た。



「咲哉さん……あのね……私ね……」


「ん?何?」



たった何時間か会話をしてなかっただけなのに、久しぶりに会話をするようだった。


嬉しくて、顔が自然と笑顔になる。



「あのね……」



でも……。


穂乃ちゃんの口から出た言葉で、俺の顔から笑顔がなくなった――。