「あの……穂乃香さんのことなんですが……」
「あ、すいません。穂乃香がどうかしたんですか?」
穂乃ちゃんのお父さんは、膝に乗せた女の子から俺の方に視線を向けた。
まるで他人事だな。
「穂乃香さんは今、僕のとこにいます」
高校生の娘が男のとこにいる。
どんな反応を示すか……。
普通の親なら、俺に対して怒りをぶつけるだろう。
もしかしたら殴りかかるかもしれない。
「そうですか……」
穂乃ちゃんのお父さんの反応は、そう一言、言っただけだった。
俺に対して怒りもせず、殴りかかることもない。
「娘さんのこと……心配じゃないんですか?」
俺がそう聞いた時、穂乃ちゃんのお父さんは何か考えてるようだった。
でも――。



