「お待たせしました」
リビングにスーツを着た中年男性が入ってきた。
この人が穂乃ちゃんのお父さんか?
「お忙しいとこすいません」
「いえ」
男性が向かいのソファーに座る。
「穂乃香の父です」
穂乃ちゃんのお父さんはそう言うと、名刺を差し出した。
「阿川咲哉です」
俺は名刺を受け取った後に、自分の名前を言った。
「穂乃香のお友達で……」
「いえ、穂乃香さんとは付き合ってます」
「そうですか。これは大変、失礼しました」
少し笑いながら言う穂乃ちゃんのお父さんです。
あのお手伝いさんは俺のことを友達と伝えたのか?
それにしても、この人は目の前に娘の彼氏がいるというのに、ニコニコしている。
娘が今どこにいるのか聞いてこない。
娘が家を空けて何日にもなるというのに……。
娘のことに関心がないのか………。



