夕方――。
俺は、ある場所にいた。
立派な門の向こうに見える豪邸。
そう――。
俺は穂乃ちゃんの家の前にいた。
穂乃ちゃんの両親と話をするために……。
瑞樹が「着いて行こうか?」と言ってくれたけど、瑞樹を巻き込むわけにはいかないから断った。
俺は呼び鈴を押した。
「はい」
女性の声がした。
穂乃ちゃんの母親か?
「ご主人はご在宅ですか?」
「あの……失礼ですが……どちら様ですか?」
「あっ、失礼しました。わたくし、穂乃香さんとお付き合いさせて頂いてる者ですが……」
「お嬢様とですか?」
お手伝いさんだったのか………。
「はい」
「少々、お待ち下さい」
しばらく待ってると「どうぞ」と声が聞こえ、門が開いた。