「やばいやばい遅刻する!」

そう言いながら

家を飛び出した

メイクが崩れるとかまったく気にしない

だってもう居るんだもん



ついこの間

会う約束した

最初は海行く約束だったんだけど

「ネットで知り合った男とそんな遠くで会うな、なんか合ったらどうすんだ」

っておばあちゃんに怒られちゃって

会えないかと思ってたけど

じゅんじゅんがこっちの方に来てくれると言った

今日はその約束の日

美鈴も会う約束をしていて

なんだか楽しくなりそう

地元から一駅

電車に飛び乗った

『もうちょっとで着くよ』

『おう、待ってる』

待ってる

なんだか夢みたいだよ

約束の駅に着いて

深呼吸して電車を降りる

改札を出れば

人ばかり

まず見つけたのは美鈴

「美鈴ー」

「あーまおー」

彼氏のよしおとメールしてたのか

携帯を閉じて

こっちに来た

「じゅんじゅん?だっけ、もう来てるの?」

「うん、どっかに居るとおもうんだけど…」

キョロキョロ

辺りをジーッと見て探す

写メでしか見たことないから曖昧だ

美鈴に
何歳なの?
どんな人なの?

なんて質問されて

うちらの一個上

おっとりしてる

って答えながら目はずっと探したまま

「あ…」

薄ピンクのTシャツ

迷彩柄のだぼっとしたズボン

写メで見た顔

「じゅんじゅん!」

「え、あ、ちょ!」

ワケもわかっていない美鈴の腕を引っ張って

じゅんじゅんの下へ