「俺、恥ず! 恥ずすぎるっ。1人で何言っちゃってるのって感じ。こんなはずじゃなかったのに…」
男の子はそこまで言ってしゃがみこんだが、すぐに立ち上がってあたしに顔を向けた。
「ごめん。いっぱい変なこと言ってごめん。本当はもっと俺の事ゆっくり知ってもらおうと思ってたんだ。
だから今日はこれで終わり!」
男の子はそれだけを言うと、あたしの横をするりと走り抜けて行ってしまった。
「あっ…! まっ…」
そんな彼にあたしは咄嗟に呼び止めようとしていた。
手を差し出して。
もっと彼の事を知りたいと、身体が勝手に反応をしたのかもしれない。
――待って!
心の中で叫んだ言葉。
それなのに彼には聞こえたのか、あたしの心の声と同時に振り向いたんだ。

