名前も、歳も分からない男の子。
でもやっぱり、
もう一度会いたいという気持ちは消えなかったし、彼の事をもっと知りたいと思ったんだ。
この駆け巡る感情の意味も。
「…来週も……」
「ん?」
「来週もここに……来る…?」
男の子はきょとんとした顔をあたしに向けたけれど、またすぐに視線をずらして遠くを見た。
「ああ。もうここに来るの習慣になっちまったしな。
それに、俺も案外読書好きだったみたいだし?」
夕日のせいか分からなかったけれど、男の子の頬がほんのり色づいているように見えた。
柔らかな風が吹き、男の子の髪がサラサラと揺れる。
黒髪なのだろうけど、オレンジ色に照らされた髪はキラキラと輝き、それはまるで宝石が流れる川のようだった。
また幻想的な世界……
そう思っていたのに、
「だーーー!! もぉ無理!」
突然彼は頭を掻き、声を張り上げた。

