近藤さんと大島くんを二人っきりにしちゃったら
絶対に危ないもの。

食われちゃうもん

ってこれ須賀くんが言ってたんだけど。

とにかくあたし達はこの旅行中に絶対に近藤さんの好き勝手はさせないの!


だから今もこうしてぐいぐい大島くんの腕を引っ張って...


「黒崎さん?」

優しい声。

それが少しだけあたしのモヤモヤをとってくれる。


「ごめんなさい」

少しだけ強引だったかな。


からませていた腕をといて、もう一度振り返ると、みんなの姿は何処にもなくて
札幌の時計台の通りにはうちの学校の制服の人達は一人もいなかった。


「黒崎さん、強引だね」

困ったように、でもクスっと笑いながらあたしを見つめる。


「強引じゃない、もん」

プイッと反対を向くと、

「ごめんごめん」

そう言ってあたしの頭を優しく撫でてくれた。


あったかくて、大きな手は

あたしを安心させてくれるのと同時にドキドキまで与えてくれる。


好き..大島くんが

大好き。