冬野は、泣きそうになるのをこらえた。
……もしかしたら気づいてもらえるのではないか……相手は、十神だということに
2人の間の沈黙は、あまりに残酷だった。
「じゃあ、今そいつと付き合ってんのか」
なんで、そういうところばかりしっかりしてるんだろう?
嘘つかなきゃ…
でも、耐えられなかった。
「相手はね、あたしのこと好きじゃないの。一度だけ、それが思い出だと思ってたけど、赤ちゃんができてて……」
「子供のこと伝えたのか?」
「……たった今……、バイバイ。」
ようやく手を振り払って、冬野は歩きだした。
十神は、少しの間呆然と立ち止まっていた。


