「だって、もしかしたら奇跡的に美味しいかもしんないだろ?」


『…』


あなたにとって本当にあたしは実験台的存在なのね。

気が付くともう8時近くを時計が回っていた。


『うわ、もうこんな時間か!』


いつのまにこんなに遅くなっちゃったんだ!?


あたしの歩くスピードが早くなる。
中田もスピードをあげたのか一瞬後ろにいってたもののすぐに隣に戻ってきた。


「え、何時」


『8時前!』


あたしがそういうと中田は表情ひとつ変えず、歩くスピードもそのまま落とした。


「なんだよ、別にそこまで言う時刻か」


『アンタのところはいつも何時頃にご飯たべてんの?』


「別に決まってない」


『…とにかくあたしはもう夕食の時間過ぎてるから!さよなら!』


そのまま走ると中田はもちろん追いかけてくることもなく、何も言わなかった。


一回、後ろを振り向いてみたけど暗い道の中、ぼんやりと見える小さい中田の姿がどこか悲しげに見えた。