あたしの手から落ちていった鍵はそのまま道路に大きく音を立てて落ちた。


走っていた足を止めて、一旦戻って鍵を拾いにいく。


拾おうとしたとき。
その鍵をあたしよりも先に誰かに拾われてしまった。


『えっ…』


「こんばんは♪」


目の前には見たくもなかった顔が輝くほどの笑顔で向けられる。


『中田!?なんで!?』


そう、中田が目の前に立っていてあたしの鍵を片手に持っている。
しかも気味が悪いほどの微笑みを浮かべて。


何すか、その笑顔。


「ご近所さんなんだね、宮川さん」


『えっ…』


うわ、最悪。


「いま心の中で“うわ、最悪”って思った?」


『えっ、まさかぁ…ははは』


図星をつかれて慌ててごまかす。


『ていうか、覚えてる?あたしの事。実は前あったんだけど』


「は?何ソレ。新しい逆ナンの文句?」