とにかく、あの中田とかいう男はなんだか好きになれない。


最初は運命の恋の始まりか?ってその気になってたけど違うな。
運命なんか…ないない。


「沙織、いる?」


『ん。ありがと~』

ミキからもらったチョコを食べながらふと中田を見る。


あ、もう溶け込んでるんだ。
友達に囲まれて楽しそうに話してる。


そのときの笑顔からはさっきのあたしに向けての悪口なんて嘘みたい。


本当にかわいい笑顔―…
無邪気な子供みたいに笑う中田。


バチッ


やばい!
見すぎたか!
目があってしまったぁ!


すると、明らかに嫌そうな顔をして目線をそらされた。


ムムム、なんだアイツは!
可愛げのないったらありゃしない。


一瞬でも「可愛い」とかキュンとかきちゃった自分を呪う。


口の中に溶けたチョコがなんだか甘ったるく感じた。