『え~、あたしいいわ』


そんな軽い恋愛、いやだ。


「やっぱ沙織は高校生じゃダメか~」


そう言ってそのまま教室から出て行くナツキ。


・・・別に、高校生が嫌なわけじゃないんだけど

あたしは軽い気持ちとかじゃなくて真剣に項をしたいだけ。


自分の机の上に鞄を置いていすに座った、とほぼ同時に教室のドアが開いて先生が入ってきた。


「席につけ~」


だるそうな声を出す先生は教壇に体重を乗せて教室を見回しながら言った。


「今日は、転校生がいま~す」


相変わらずだるそうだけど、その声はどこか楽しそう。


「じゃ、入って来い」


ドアに向かって声をかけるとガラッと音がしてドアが開いた。

教室にいる生徒全員が息をのんだ。


みんな一点に釘付けになったように目を向けている。


あたしだって驚いた。


・・・だって、そこにいるのは昨日の男の子なんだから!!!


彼は教室を見回してから一度礼を軽くして、前を向きなおして口をあけた。