大河の家につく…。




私は黙って、ロビーのソファーに座った。




すると大河がキッチンから、焼き菓子とココアを持ってきてくれた。





「葵…。何があったんだよ…。」




顔を覗き込まれても、何も言えなかった。




言いたい…。




泣きたい…。




でも、そしたら…



大河が悲しむから。




言えない。




「葵…?」




「大河…。何にも…ないってば…。」





「本当か?」





「うん…。」





あー…。



また、嘘をついた。




大丈夫なんてことない。




ホントは苦しくて、怖いよ…。





広い空間なのに…



私だけが、ガラスケースに入ってるみたいに孤立してて…



私だけにスポットライトが当たってる。




ココアも、甘さは口の中ですぐに消えて、




にがさだけが、奥に残った。





ガラスケースの中で、一心に真実を叫ぶけど…




大河には届かなくて。




ガラスを叩いても、叩いても…




そこに、本当の私の姿はない。





私は…






一人なの?