気がつくと、私は更衣室の椅子に横たわっていた。



ぱっと横を見ると、陸が床に座り込んでいた。



「葵…。」


心配そうに私をみる。



「葵…。ごめん…俺。」



陸は震える手を伸ばし、私の頬を撫でる。



私は陸の頬を力一杯叩いた。


パンッという、鋭い音がこだました。



「最低…。」



悔しかった。



悲しかった。



大河との幸せが、どんどん薄れていく。



それが、苦しくて…






憎しみへと変わっていく。


「陸なんか大嫌い!!」



陸を睨み付ける。






「へ~。言っていいの?この事…」





「!?」




にやりと私を見る目の中には、以前の陸の姿はもうなかった。





私は大きな罠にはまった…。