「どうしてそんなに不機嫌なのですか」

もてあまし気味に訊ねると、イリアはペンを置いて立ち上がった。

ユーリの相手が面倒になったのか、ベランダに出たまま戻ってこない。

上着を手に様子を見に行くと、バルコニーの手すりにもたれ、うな垂れていた。

心なしか、顔色が悪い。

そういえば、つく息が苦しげだ。

そっと額に手を伸ばしてみたが、触れる直前で身をかわされてしまった。