「きれいな方ですね」

散らかった本を拾い上げながら、ちらりとイリアの方を見た。

こちらの話を聞いているのか、いないのか、王子は眉間に皺を寄せ、羊皮紙にペンを走らせている。

婚儀の決まった頃からイリアはずっと不機嫌で、それは今でも変わらない。