誰もが罠だと思ったが、そうではなかった。

夜が来るたびに、兵士たちが、一人また一人と城から逃げ出して行く。

最初は少人数だったのが、総攻撃の日が近づくにつれて脱出者の数は増えていき、最後にはユーリも、次期王であるユーリの弟も、それぞれに護衛に守られて、別々に城を逃れ出た。

王と王妃が城の奥深くで自刃したことは、その日にうちにアルミラに伝わった。

城は、総攻撃が始まってから、わずか半日で落城した。