「この黒い髪も、象牙の肌も、冷たい瞳も……全て……全て……私のものだ」

熱い吐息を漏らしながらも、キリシュの瞳は決してイリアを映さない。

天蓋付きの豪華なベッドが激しくきしむ。

自分のしていることの醜悪さに、のけぞりそうになる。

(いいじゃないか、これも芝居の筋書きの一つなんだから)

頭の中で冷笑するもう一人の自分。

(今さら気にすることはない、落ちるところまで落ちてしまえ)

意識が何度も飛びそうになる。

どこまでも自虐的な復讐劇。

その結末が自分の手の中にあることを確認するために、のどぼとけの浮かぶ白い首に指を絡めると、男の目が細められ、恍惚とした表情を作り出した。

「愛しているよ……」

ここにはいない誰かの名前。

虚ろに開かれた瞳に滲んだ涙を隠すため、少年はゆっくりと目を閉じた。