戦場をひとりで逃げ惑ったと思われる、子供の恰好はひどいものだった。

軍服姿の少年はゆっくりと視線を動かした。

傷だらけの裸足の足元で、風が咆哮し渦を巻いている。

強い風が崖から吹き上がってくるたびに、襤褸布のような衣服が千切れそうにはためいて、背後に逃げ場がないことを告げている。