「何をやっている!? こっちへよこせ! 毒だと言っただろう!」

派手な音を立てて割れたカップの方に、イリアは見向きもしなかった。

「毒薬のことなら私だって少しは知っています。ずっと使い続けていると、身体がぼろぼろになって、目が見えなくなったり、気がふれたりすることだってあるんですよ!」

「どうしてそんなことを? お前には関係……」

続く言葉を飲み込んで、いつも冷静なイリアが、椅子を蹴って立ち上がる。

その姿が、ユーリの視界の中で二重にぶれた。