「お前の芝居に騙されてやる代わりに、劇中劇に出てもらう」

「劇中劇? お芝居……ですか?」

聞き間違いかと思ったが、王子は真顔で頷いた。

「そうだ、劇中劇だ。扮装を解けば悲劇になる。だが、そこら中に転がっている陳腐な悲劇などつまらない」

「陳腐な悲劇!? それってどういう……」

右手を軽く一振りしてユーリを黙らせた少年は、よどみない口調で続く言葉を口にした。

「俺はお前がお前の芝居を続けられるよう手助けしてやる。ついでに、俺自身がこさえた芝居の中で、最高の役を割り振ってやろう。与えた役を見事に演じきることができるなら、おもしろい復讐劇になるはずだ」

何を言っているのか、全然わからない。

ユーリはぽかんと口を開けたまま、相手の顔を凝視した。