ふっと鼻で笑ったイリアは、大量の羊皮紙を手にしたまま、よどみない足取りで部屋を横切り、大きな開き窓を押し開けた。

強い風にあおられた羊皮紙が舞いながら落ちていく。

立ち上がったセナは、床に落ちた一枚を拾い上げ、息を飲んだ。

それは王宮の内外に張り巡らされた地下通路を網羅した詳細な地図だった。

「逃亡路はいくらでもある。全てを置いてこの国から出て行け」

セナは項垂れ首を横に振った。

「わからない。どうしてあなたがこれほどまでに、アルミラの幕引きを望まれるのか……」