「どうしてそんなことに!?」

「革命の最大の功労者がグノーだからだろ?」

「違うわ! 革命を起こしたのはイリアよ!」

涙目で叫ぶユーリの頭をポンポンと軽く叩いてから、クリムゾンはすっと立ち上がった。

「どこに行くの?」

「王宮だ。探りを入れてくる」

「私も行く!」

袖を引かれて振り返ったクリムは、にっこりとほほえみ、首を横に振る。

「ここにいろ。お前の従者が戻ってくるかも知れない」

今、二人がいる場所は、アランに連れて来られた最初のアジトだ。
確かに、アランたちが戻ってくる可能性はゼロではないが・・・。

「ほら、これ持って待ってろ。そんな顔しなくても、俺はちゃんと戻るから」

またもや押し付けられたのはイリアの剣だ。
ユーリが複雑な表情でそれを受け取ると、クリムゾンは満足したように頷いて、水と食糧と着替えを詰め込んだ大きな袋を無造作に置いて出て行った。

立ち上がろうとしたユーリは、バランスを失ってよろめいた。
神経の高ぶりだけで辛うじてもたせていた身体の方は、とっくに限界を超えていた。

ユーリは半ば気絶するように、粗末なベッドに倒れ込んだ。