王宮の地下から伸びる複雑な通路。

第一離宮から伸びる地下通路は第一離宮の関係者が、第二離宮から伸びる地下通路は第二離宮の関係者が、第三離宮から伸びる地下通路はカリノ家が・・・。
しかし、それら全てを合わせても、まだ足りない。
歴代の王が密かに築いてきた地下通路がある。

どの通路にも、複数のトラップがしかけられていて、知らずに通れば命を落とす。
完全に把握している者は、一人もいないとされている。

だが、グノーが手にした調書によれば、城壁の外に締め出された、かつてのアルミラ兵たちは、地下にはりめぐらされた通路を自由に行き来し、ゲリラ戦を展開しているという。

市街戦が頻発し、革命政府は弱体化している。
アルミラのこの体たらくを見れば、革命政府を支持する諸国からの援軍は、たちまち侵略軍として牙をむいてくるだろう。

イリアだ。
イリア・アルフォンソだ。

神のように、いや、悪魔のように頭の切れる第四王子は、いつもと同じ無表情で、芝居の筋書きを変えたのだ。

イリアがその気になれば、この国は滅ぶ。
王家だけでなく、この国も道連れにするつもりに違いない。