「セナ王子が偽者!?」

セナ・アフフォンソは替え玉だった。

王家ともカリノ家とも関係もない、カリノ家の手の者が貧民街で見つけてきた赤ん坊。

それなりにきれいな顔をしていたし、髪と瞳の色が先王と同じだったことから選ばれた。

第三王宮から外に出さなかったのは、病弱だからではなく、顔を知られないためだった。

不要になったから始末された。

ただそれだけのことだった。

「なんてひどいことを!」

「ひどい? おどろいたな。ひょっとして、あの男があなたにしたことを忘れてしまったのですか?」

「忘れてはいないわ! 忘れてはいないけど……」

アルミラ王家の陰謀は果てがない。

王侯軍は破れ、革命軍が勝利した。

城は壊され、先王の葬列を組んで城を出立した者たちは、帰る場所を失った。

イリアの命令で、クリムゾンとともに密かに革命軍を支援していたグノーは、そのまま革命軍の幹部におさまっている。