「イリア、イリア、目を開けて!」

抱きしめる腕に力をこめた時、消え入るような声が耳朶を打った。

「……行け……かまうな……」

「い、いや! 怪我をしたあなたを置いて行くなんて!」

「……ばかな……ことを」

蒼白の顔を歪めた少年は、かすかに笑ったようだった。

「俺のことなど忘れてしまえ。リタニアを再興しろ……お前なら……」

言葉はそこで途絶えてしまった。

失血で意識を失ったのだ。

ユーリの心臓がドクンと鳴った。

このままではイリアは助からない。