続く言葉はひときわ大きな砲声にかき消され、イリアの耳にはとどかなかった。

建物が大きく揺れたが、堅牢な建物がその程度で崩れるはずもない。
だから、前しか見ていなかったユーリには、何が起こったのか、わからなかった。

「ユーリ!」

少年が、必死の形相で駆け戻ってくる。

有無を言わさぬ強引さで、ユーリは床に引き倒された。

ぐるりと回った視界の端に一瞬だけ映ったもの。

それは、まっすぐこちらに落ちてくる、巨大なシャンデリアだった。