「こんなところで、一体、何をなさっているのですか!?」

「それは、こっちの台詞だ」

差し出された手をためらいがちにつかむと、乱暴に引っ張り起こされた。

漆黒の髪。
漆黒の瞳。
黒尽くめの衣装を身に着けたその姿も、冷めた口調も、まぎれまなくイリアのものだった。

「どうやって、ここまで来た」
「地下通路を…………」

かすかな舌打ちが耳朶を打つ。

確認するまでもなく、ユーリは招かれざる客のようだ。

第四離宮から城の外に、地下通路が通じていることを教えてくれたのは、クリムゾンだった。

イリアの命を受け、クリムはたびたび離宮を抜け出し、おのれの身分を偽って反乱軍を支援していた。