城壁の外では、王の軍隊と革命軍とが死闘を繰り返しているはずなのに、城壁の中はしんと静まりかえっていた。

最初に足を踏み入れたのは第四離宮。

どんなに目を凝らしても、いつも無表情だった第四王子も、第四王子に仕えていた者たちの姿も見えない。

聞こえてくるのは自分の足音と息遣いぐらいで、王宮につながる渡り廊下を懸命に走りながら、無人の巨大迷路に迷い込んだような気がした。

王宮にもやっぱり人影はなく、無数にある部屋のほとんどに鍵がかけられていたが、確認しながら進んでいくと、一つだけ鍵がかけられていない部屋があった。

ぴたりと閉ざされた、扉はとんでもなく重い。

苦労して両手で押し開けると、明かりの灯らぬ大広間に出た。