「ユーリ様、思いとどまってください! ユーリ様の御身に何かあれば、リタニアの再興は不可能となります!」

扉の前に仁王立ちしたアランの顔が、グレアムの顔と重なった。

行ってはならない。

行くべきではない。

そんなことはわかっているけど、理性だけではわりきれない思いが、ユーリの中で渦を巻いている。

雑多な人種からなる反乱軍は、弔鐘を合図に一斉に蜂起した。

彼らは何も知らないのだ。

自分たちの資金源が誰であるのかも、冷酷無比な「黒の王子」が本当はどんな人なのかも。