王宮の鐘に呼応して、城下の鐘が一斉に鳴り出した。

音の洪水は次々と連鎖して、郊外の村々にも広がっていった。

王の死を伝える弔鐘は四半時ほど続いたが、挙兵を告げる鬨の声と入れ替わるようにして聞こえなくなった。

リタニア最後の日に、従者ともども姿を消したユーリの弟は、今も行方不明のままだ。

ユーリは髪を切り、弟が着るはずだった、紫の軍装を身に着けた。