「頭が良すぎて良いことなんて一つもない」

クリムゾンに言わせれば、イリアはみずからの知力を総動員して、自分の墓穴をせっせと掘っているのだという。

「アルミラ王室は間もなく滅ぶ。背後で糸を引いているのはイリア様だ。これはあの方が考えた復讐劇なんだ。ラストが少し変わっただけで、本質は何も変わらない」

復讐劇。

それは、ずっと、ずっと、ユーリの頭にひっかかっていた言葉だった。

「イリアがアルミラ王室を憎んでいるというの? 王室を倒すことで、お母様の敵を討つつもりなの?」

ユーリの問いかけに、金髪碧眼の青年はどこか苦しげに目を伏せた。

「そこまではわからない。でも、イリア様が一番憎んでいるのは王室じゃない。もう、お前にだってわかるだろ。イリア様がお前に剣を与えた理由が」