「だから、イリア様は生まれた時から一人だった。殺される価値もない、ひっそりと生きて死ぬだけの運命だ。だが、あの方は自ら自分の運命を変えてしまったんだ」

本ばかり読んでいた少年は、ある日突然、自らの意思で動き出した。
羊皮紙一枚にまとめた軍事作戦書を、直接本人から手渡された王は驚いた。

イリアの示した作戦は、当時苦戦していた戦況を、一気に覆えさせるものだった。

それは、軍事に携わる高位高官が、連日の会議でどれだけ検討しても、決して思いつくことのできない奇抜なもので、イリアの存在を一気に重いものとした。