「イリア様の母君は、アルミラに滅ぼされた亡国の王女だ」

漆黒の髪と瞳を持つ王女は、わずか十二歳で、侵略国の王の妾にされてしまった。

戦乱の世には、よくあることだとユーリは思う。

イリアに拾われなければ、ユーリ自身はもっとひどいことになっていた。

気の毒だとは思うけど、そのぐらいの覚悟がなければ、王家の人間はつとまらない。

子供が生まれた直後に、窓から身を投げて死ぬなんて、ひどすぎる。