「ユーリ、助けてくれ、俺ではあの方を救えない」

ユーリの足元に跪いた青年を、ユーリは驚いて見下ろした。

「お前にすがるのは間違っている。でも、どうしたらいいか、わからないんだ」

ユーリもその場に跪いた。

青年の顔が近くなる。

瞳と瞳を合わせていると、だんだんと相手の思いが伝わってきた。

ああ、そうか。

クリムゾンはイリアのことが大切なんだ。

だからこんなに一生懸命なんだ。

「私、何をすればいい?」

ユーリの言葉に、青年はほっとしたように息をついた。

「話を聞いて欲しい。その後で、どうしたらいいか、一緒に考えてくれないか」

雨がいちだんと激しくなった。

今の自分にもできることがあるのなら・・・。

ユーリはイエスと言う代わりに青年の頭を抱きしめた。