「アルミラ王が崩御された」

クリムゾンの言葉は、青天の霹靂のように、耳朶を打った。

「でも、そんな情報は……」

「まだ公になっていない。キリシュ様……第一王子はタイミングを計っている。これを気に、自分に敵対する者をことごとく燻り出して、一網打尽になさるおつもりだ」

ユーリは震える思いで、相手の顔を見つめ返した。

たちの悪い冗談だと思いたい。

でも、澄んだ空色の瞳に嘘はない。


アランは、国が少しでも揺らげば、一気に蜂起すると言っていた。

つまり、一網打尽にされるのは、ユーリたちと言う事だ。


「じゃ、じゃあ、私たちに資金援助している貴族というのは……」

キリシュの名前が出てくると思ったのに、ユーリの口元をいきなり押さえた青年は、ユーリの耳朶に別の名前を流し込んだ。

「イリア様だ」

「嘘!」

「残念ながら本当。実際に動いているのは俺だから間違いない」