「でも、アルミラの上流階級の人すべてが、悪人というわけではないでしょう?」
「ええ、それは、まあ……」

煮え切らない感じだが、アランは否定しなかた。
ユーリはイリアのことを思って言ったのだが、アランはアランで別のことを考えていた。

「貴族の中にも協力者がいます。彼らの資金提供がない限り、我々の活動は成り立たない。ただ、悪人でないかどうかまでは、判断できかねますが」

貴族の中に王家を滅ぼそうとする者がいる。
それはすなわち、王の座を狙っている者の陰謀ということではないだろうか。

「だがら、腐っていると申し上げたのです。聞いたところによれば、王族同士の間でもごたごたしているそうではありませんか。王位継承権第一位のキリシュは、正妃がありながら男色家で、おまけにその相手というのが……」

そこまで言ったところで、アランははっとして口をつぐんだ。