「お前を自由にしてやる」

ありえないことを、あっさりと言われて、唖然となった。

今日のイリアはものすごく変だ。

さっきまですごく不機嫌だったくせに、今は口元に笑みさえ浮かべている。

皮肉な笑みも、冷たい微笑も知っているけど、こんな笑みは見たことがない。

「わ、私・・・・」

自由なんていらないって言ったら、どんな顔をするだろう。

ずっと、ずっと、一緒にいたいのだと告げたなら……。

試してみたい気持ちを、ユーリは強引に抑え込んだ。

忘れてはならない。

たとえ、国はなくなってしまっても、自分はリタニアの王女なのだ。