死体を半ば覆っていたポプリの香りが部屋に充満する。

声にならない悲鳴とともに、ユーリは恐怖に駆られて後ずさったが、足首の鎖がつっぱり、そのまま床に尻餅をついた。

(逃げられない!)

「イリアっ!」

本能的な恐怖で、頭の中が真っ白になった。

「イリア、イリア、イリアっ!」

ユーリは狂ったように王子の名を叫んだ。