「情けない!」と、声に出して言ってみた。

この国に連れてこられた時は、あらゆる苦痛と陵辱を覚悟していたはずなのに……。

「たかだか、監禁されて、唇を……」

唇を奪われてしまった。

声はだんだんと小さくなり、最後は自分の耳にも届かないほどの小声になった。

このままだと、もちろん、唇だけで済むはずがない。

にじんだ涙を両手で拭ったユーリは、涙にくもる目で周囲を見回した。