「ついて来い」

背中ごしにかけられた声。

返事を待たずに、軍服の背中が遠ざかっていく。

逃げるか、崖から飛び降りるか、それとも敵国の王子についていくか。

自分を守って命を落としていった者たちの顔が次々と目に浮かぶ。

どの道をとっても、その先に待つのが死であるのなら、せめて一矢報いてやりたい。

覚悟を決めたユーリは、無言で少年を追いかけた。