「イリア、大きくなったね」
「兄上もずいぶんとお元気そうで」

兄よりも長身な上に不敵なオーラを放つ弟と、病弱を理由に離宮にこもりっきりの兄とが、椅子にも掛けずに向かい合い、白々しい会話を交わし始めた。

イリアの背後に佇立して二人のやりとりを聞いていたグノーは、イリアの指先が合図を送ってきているのに気がついて、あわてて前に踏み出した。