「じゃあ、ここで」
「ここでって?」

きょとんとした顔で首を傾げられ、ユーリもつられて首を傾げた。

「だって、向こうに戻らないと」
「どうしてそんなこと言うの? 君はもう僕のものなのに」

吃音も、おどおどとした態度も、嘘のように消えていた。

何が起こったのか、咄嗟に理解できなかった。

青年が軽く指を鳴らすと、武装した兵士たちが、わらわらと姿を現した。

たちまち十人ほどの男たちに囲まれて、ユーリはようやく自分が罠にかかったことに気がついた。