「早く、早く」と急かされて、ユーリは急いで涙を拭いた。

塀の上から、身軽に地面に降り立つと、少し離れたところに立っている木の幹に、ロープをしっかりと結びつける。

「いいですよ」

塀の向こうに声をかけると、青年は意外にもするすると高い塀を登ってきた。