いつかはこんな日が来ることを、周囲の大人たちは知っていたのだろうか。

今にして思えば、幼いユーリに剣術の手ほどきをしてくれた青年の言葉は、単なる忠誠の言葉ではなかった気がする。

「全身全霊をかけてユーリ様をお守りします。でも、私が死に、周囲に誰一人味方がいなくなった時は、ご自分でご自分の身を守らなくてはなりません」

ああ、そうだ。

今が、きっと、その時だ。

何人もの男たちを従えて、豪華な軍服姿で戦場に現れた目の前の少年は、ユーリの祖国――リタニアを滅ぼした侵略者だ。