「もう大丈夫ですから、休んでください」

「そうはいきませんわ。ところで、お腹がおすきではありませんこと? 召し上がっていただこうと思って、スープを作らせましたのよ」

ローズが呼び鈴をひとつ鳴らすと、カリノ家から来たらしい見知らぬ侍女が入ってきた。

恭しく礼をするその背後に、銀色の髪がちらりと見えたが、ユーリが部屋の中に足を踏み入れることはなく、扉は侍女の手によって閉ざされた。