(許して下さい
 僕は嘘をついてきました、
殺してください。
 
 僕は面白く無いのに、
嘘で笑顔を見せてきました、
ゆるしてください。

 気持ち悪いと罵られても、
笑ってきました、
殺してください。

 一生懸命足音を消しても、
後ろから着いてきます。

 一生懸命足音を消しても、
僕が存在します、
許して下さい、
殺してください。

 いつもお腹が減ります、
美味しい物が怖いです。

 許して下さい、
後からついてくるから、
あとが無いのです、
殺してください。

 真っ暗な道を歩いていても、
影があるのです、
街灯の下を歩いている時と
同じで影が僕の前へ 
回り込みます。
殺して下さい。

 他人に優しくできれば、
死んでいいのでしょうか。

 人に本気で微笑みかけれれば、
死んでもいいですか。

 お腹が空く自分が憎たらしいです、
許して下さい。

 人間は自分の為だけに、
綺麗な言葉を吐かないと
思っています。
でも、自分の為だけにしか聞こえません、
殺してください。

 頑張っても頑張っても、
背中に何かがいます、
だから死ねません。
怖いから死ねません。

 死のうとすると
生きようとします。
ごめんなさい。

 目を閉じると、
歯車が回ります。
鉄の歯車と木の歯車と
氷の歯車が重なり、
向日葵の歯車と
人間の歯車と
汚いオジさんの歯車と
お姫様の歯車が重なり、
三日月が回ります。

 許して下さい、
許して下さい、
お願いします、
お願いします。)

全てを止めてたユリツキの、
これが最後に、
意識の断片に綴った、
最後の言葉であった。